ベタの特徴

白いベタの画像

 

ベタは、東南アジア一帯に生息する熱帯魚で、原産はタイのメコン川流域といわれています。

タイの山間部や水田などの水域にも生息し、マレーシアにも生息しているそうです。

なお熱帯魚なので、20℃以下の低い水温では生きていけません。また淡水魚なので淡水(真水)、汽水域(海水混じり)でも生息しています。

基本的には淡水での飼育の方が調子が良いと思います。

体長はおよそ5~8cm(成魚の場合)、メスはやや小ぶりで地味な色合い、オスは少し大きく体色は派手で多種多様、そしてヒレが長い傾向があります。

ただし大型種のベタ「ジャイアント・プラガット」は最も大きく、なかには10cmオーバーの個体もおり、圧巻の存在感です。

このジャイアント・プラガットだけはエサは通常のベタの倍くらいをあげた方が良さそうですね。

 

大昔に「ベタ・スプレンデンス」という種が突然変異を起こし、様々な色をもった個体が現れ、さらにヒレもより大型化、多様化したものが「ベタ」として現在流通しています。

数百年前、タイでベタ同士を戦わせる「ベタファイト」(闘魚)が盛んになり、より戦いに強い、気性の荒いベタが作出されるようになりました。

その為、現在流通しているショーベタは基本的には気性が荒いですね。(それでも最近はおとなしい個体がいたりしますが。)

 

非常に長くて美しいヒレが特徴で、最近になってからもさらに新しい品種が作出されています。

体の色に関しては、「ベタに出ない色はない」と言われているほど多様で、赤、青、黄色、オレンジ、銀色、クリアー、白など極めて豊富で、模様も出ますね。

金属的な光沢のある個体までおり、このあたりは他の熱帯魚にもない特徴といえそうです。

また、他の淡水魚よりも気性が荒く、オスもメスも攻撃的な性格の個体が多いです。特にオスは単独飼育が基本になります。

ちなみにベタのオス同士は、闘うとお互いに噛み合います。噛み合って負けると退散していきます。

メスは集団での飼育も可能ですが、一度単独で飼育して縄張り意識を持つと他のメスを攻撃しやすいので、できれば単独で飼う方が無難です。

あるいは、メスの場合はあえて過密飼育することで縄張りを無くし、たくさん飼うことも可能です。繁殖で余ったメスは1つの水槽でまとめて飼育すると楽ですね。

 

飼育に適した水温は25℃から30℃で、理想は28℃です。安全に生息できる水温の幅はおよそ20℃~35℃くらいで、この範囲内で飼育してください。

エサに関しては、熱帯魚としては小食だと思います。1日8粒も食べれば充分ですし、エサが無くても最大1週間はなんとか生きられます。

飼育水のphは6.5前後がベストで、弱酸性を好みます。(一部の野生種では例外あり)

ただし最も一般的な「トラディショナル・ベタ」は改良品種の為、水道水そのままのphでOKです。ph8.0でもまったく平気ですね。

また軟水を好みますが、水道水も軟水なので、水道水をカルキ抜きした水が最適です。井戸水やミネラルウォーターは硬水なのでベタには合いません。

軟水=ミネラル分が少ない 硬水=ミネラル分が多い水です。

 

ベタはヒレが野生種よりも長く、泳ぎはかなり遅いです。水流のない場所を好むので、水槽にフィルターは基本的には不用です。

また、頭部に特殊な器官をもっており、クチから直接、水面で呼吸が出来ます。(ラビリンス器官といいます)これは「ゴクラクギョ亜科」の魚の特徴ですね。

ちなみに味覚、嗅覚もあるようでエサの味、匂いが分かり、また音も分かるようです。

 

寿命はおよそ3年程度ですが、個体差や環境によって大きく左右されます。

お店では、生まれてから3ヶ月以上の成体が売られていますので、購入から2年半くらいが寿命と考えてください。

 

ベタのタンクメイト

ベタは自分の種と同じような形の魚を攻撃しやすいですが、明らかにシルエットの異なる他種の魚には非常に無関心です。コリドラスなど、ナマズ系の生き物なら共生可能ですが、なるべくベタは単独で飼う事をおすすめします。

とくに貝やエビ類とは相性が悪く、食べようとしますので避けましょう。

 

ベタの繁殖

若い固体は、成熟すると稀に水面に泡を集めた「巣」を作ります。これは卵を付けるためのもので、器用にクチから唾液で泡を作ります。

これは「泡巣」といって、一般的なベタは「バブルネスター」という種類で、泡で作った巣で卵を育てます。

一方、野生種の「ワイルドベタ」のなかには、「マウスブリーダー」といってクチの中で卵を育てる種類もいます。アロワナと同じような感じですね。

 

泡巣はオスが作るのが一般的ですが、稀にメスでも作る場合があります。これは卵が無ければ水換えの際に壊してもかまいません。

ベタの卵はやや小さく、直径は1mm前後といったところでしょうか。無性卵は透明で、受精卵は白いですね。

メスは交配で約50~100個前後の卵を産卵できますが、個体差もあります。

ただベタの繁殖は難易度が高く難しい印象ですね。オスが興奮してメスのヒレを噛むので、メスはボロボロになります。

逆にメスが気に入らないとオスを噛むこともあり、相性もあるので簡単にはいきにくいですね。

またベタに「繁殖期」は基本的になく、若ければ年中産卵が可能です。

 

またベタは卵が小さめなので、孵化したばかりの稚魚はまだブラインシュリンプが食べられないサイズです。

その為、インフゾリア(微生物)を湧かせる必要があり、水草のウィローモスを投入したり手間がかかります。

ただベタも孵化から1週間以上経てば、大きくなってブラインシュリンプも食べられるので、そこまでの成育がやや難関といえます。

 

ベタの遺伝ですが、親同士の色が同じでも様々な色の子供が生まれます。体色は両親から受け継ぎますが、体格は母親の遺伝子の影響が大きいように感じます。

両親が素晴らしい色あいでも、必ずしも子供も良い色が出るとは限りませんし、逆に親の体色が良くなくても、素晴らしい体色の子供が生まれたりします。このあたりがベタの繁殖の難しさですね。

 

 

ベタのからだ

ベタの各ヒレの解説図

ベタにも、他の魚と同じようにヒレがたくさん付いています。それぞれの部位の名称を画像で解説してみました。

画像は標準的なトラディショナル・ベタです。他の品種でも部位の名称は変わりません。泳ぎを見ていると、体の姿勢の制御には胸ビレを使い、尾ヒレで水をかいて前進しているようです。

特徴としては、ベタの胸ビレは透明なものが多いですが、個体によっては体と同じ色の胸ビレの場合もあり、その方が美しいので値段も高価になりますね。

 

腹ビレ、尻ビレの間に「総排出口」があり、ここからフンをします。またメスの場合は、この総排出口から卵が見えますよ。

魚は健康だと背ビレがしっかり上がる習性があります。体調チェックの目安にしてください。

また、ベタは呼吸が他の魚と違い特殊で、通常のエラ呼吸とクチからの呼吸の両方で酸素を取り込んでいます。これは水中の酸素濃度が非常に少なくても生存できる特殊な呼吸構造(ラビリンス器官)になっています。

その反面、エラ呼吸だけでは充分に酸素を取れず、こまめに水面にクチを出さないと充分な呼吸が出来ません。なのでもし水中に閉じ込められて水面まで上がれないと酸素不足で溺れ死んでしまいます。

 

ベタのヒレ裂け

ベタはストレスなどが原因で、その長いヒレが徐々に裂けることがあります。主に振動や水質の急な変化でストレスを抱えるようです。

このヒレ裂けは厄介で、若ければ治りやすいですが、老化してくると治りにくいです。

また、形は元に戻っても、色のパターン、柄までは完全には戻りにくいですね。なので、キレイなベタほどなるべくヒレが裂けないように慎重に飼いましょう。

 

ベタのフレアリング

ベタのフレアリング画像

ベタが他の魚を威嚇する場合、画像のようにエラと体の各ヒレを開いて体を大きく見せようとします。これを「フレアリング」といいます。

これは同種の魚とのエサの奪い合い、縄張り争いの環境を生き抜くために身に付けた習性のようです。

多くはベタのオスが行う行動ですが、実はベタのメスでも、縄張りに入ってきた他の魚を威嚇する際に行うことがあります。

メスのフレアリングはやや珍しいです。見れるのは割とラッキーですね。

 

飛び出し事故に注意

ベタは水面から飛び出す事があります。

水温が低い、または水質が悪化した場合やにも飛び出す事がありますので、基本的には夏場以外は水槽にフタをして下さい。

または水面を下げて、水槽のフチより8cm以上は低くしておけば安心です。

比較的、オスよりもメスの方が飛び出しやすいですので注意してください。

 

その他、野生種以外のベタであれば飼育方法は基本的に変わりません。

 

野生種も多種多様です

一般に流通している「ショーベタ」は、「ベタ・スプレンデンス」から派生した種で気性が荒いものが多いです。その他にタイなどで採れる野生のベタが「ワイルドベタ」です。

「ワイルドベタ」は気性が荒くない品種の方が圧倒的に多い印象ですね。基本的にオスメスのペアで飼育できることがほとんどです。

またワイルドベタの方は品種が多く、特に尾ヒレがトランプのスペードに似た「スペードテール」など特徴があります。

色鮮やかな品種もあれば、かなり地味な色合いの品種も多く、多種多様といえます。

 

しかし野生種は飼育が難しく、飛び出し事故も多いです。買ったその日に死なせてしまった例もあり、上級者用ですので、初心者は避けたほうがいいですね。。